特集 イタリアのこと① 

【アルベルゴ・ディフーゾ】

イタリアを訪れて思ったこと。
どこにいっても、楽しい!おいしい!美しい!なぜそうなんでしょう・・・

もちろん全てを解明できているわけではありませんが、すばらしい考え方や興味深い仕組みに出会うことができました。国策から小さなまちの取り組みまで大小様々。

そんな中から、私の心に残ったいくつかのことを備忘も含め書き留め、共有したいと思います。

1回目は、アルベルゴ・ディフーゾという仕組みについてです。
イタリア語で、分散した宿という意。
CREATIVE LOCALという書籍の中で知ったのが最初で、一度体感したいと思っていました。

この仕組みを推進する協会もあって、イタリアを中心に欧州100近くの町で展開されています。
その名の通り、宿泊機能が街中に分散しているんですね。
一般の宿は、受付、食堂、お土産売り場など一つの建物に集約されていますが、アルベルゴ・ディフーゾは、受付があっち、泊まる部屋はこっち、そっちにもあるよ、みたいに歩ける距離の中で点在しています。

おのずと宿泊客は自然と街中を回遊するし、地域の人と自然と交わる機会が多くなります。
また、既存の建物(空き家)を活用して営業されていますが、もちろん、ベッドメイキングなどもされるので部屋は綺麗に管理されています。

州ごとにルールが異なりますが、地域活動と密接に関係しているものが多く、その活動が体験商品になったりもしています。

私も訪れた町で、ベンチに座るおじいちゃんおばあちゃんと話しをしたり、街を案内してもらったり、その街にちょっと暮らしているかのような感じを経験できました。
この仕組みを通じて売られているものは、単に宿泊サービスやお土産といったものではなく、「地域との距離を縮めること」でした。

この「見立てる」という考え方の転換によって、さまざまな物事が有機的につながっています。
機能や効果の最大化に大変有効な施策だと感じました。
溶け込みやすい街が、やがて、繰り返し訪れたい街になるのだと確信しています。

こんな体験を周辺の方に話していたら、アルベルゴ・ディフーゾについての勉強会にお誘いをいただきました。
会場は大田市大森町。
なるほど、ぴったりマッチしそうです。

講師は、他郷阿部家にお泊まりだった森まゆみさんと中橋恵さんでした。
この中橋さんが、冒頭ご紹介した書籍CREATIVE LOCALでアルベルゴ・ディフーゾについて寄稿されたご本人。
書籍で見つけた記事に触発されイタリアを訪れ、その著者と島根で出会う。
なんとも不思議なご縁が、このメモ連載のスタートを切らせてくれたのでした。

次回はスローシティについてです。